「一日に一点」


 彼らの作品がどのように作られているのかあるのか、実際に工房を見学させてもらいました。今回はその中でももっとも単純なデザインだという「HEI MATAU (ヘイ・マタウ)」の製作です。


 全工程を完了するのに、途中数回の休憩をはさみ約6時間。デザインによっては、一点の作品を仕上げるのに数日〜数週間かかるかかるというのもうなずけます。





 1 : 型のトレース


 何種類もあるデザインの原画と、そのデザインに見合った大きさの鹿角が選択され、型をトレースしていきます。


 基礎となる部分ですので、作業は慎重に進められていきます。


 2 : 穴あけ


 切っていくための下準備です。電動糸ノコの刃が入れられるように、また、途中のターンが容易にできるように、前もって数カ所の穴をあけておきます。


 電動ドリルで垂直に穴を開けます。


 3 : 切り離し作業


 トレースされた型を切り離していく作業です。先ほど開けた穴から糸ノコの刃を通し、切っていきます。


 鹿角を曲線で切るのは、熟練したリンでさえ非常に難しいそうです。また、切り離した外枠の部分もケースになるので、切りすぎることができません。


 この工程はたいへん神経を使う作業のため、ゆっくりゆっくり時間をかけて切り離していきます。


 細かくてカーブのR角が厳しいところ、ひもを通す部分など(左画像参照)はとくに気を使います。




 4 : ヤスリがけ


 電動のサンダーを使い、表面の荒削りです。鹿角特有のマーブル調(石理調)の模様の出具合など見ながら削っていきます。


厚みの微調整もここで行います。



 5 : カービング(彫刻)


 ここがメインの工程です。ルーターとよばれる歯医者で使うような工具を用い、何十種類もある刃先を徐々に目の細かいものへとりかえながら、完成へと近づけていきます。


 最後に粒子の細かい研磨剤で磨きをかけると、表面に美しいツヤが出てきます。


 実際、もっともシンプルなデザインだといわれるHEI MATAU (ヘイ・マタウ)でさえ、ここの工程だけで3〜4時間もの時間をかけています。


 強靭な精神力と根気のいる作業です。








  完成


 最後に外枠部分の裏側にレザーをあてがい、形通りに切り取って、専用ケースらしく仕上げます。このまま飾っても美しいアートとして鑑賞できます。